『響け!ユーフォニアム』『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』『アイドルマスター シンデレラガールズ』など、2015年は数々の名作を生み出した激動の年でした。
【参考】絶対に観ておきたい!2015年のおすすめアニメ10選 | POTANY
そして迎えた2016年。まだ始まって間もないですが、既に今後語り継がれていくであろう良作が出揃っています!
さて今回は、2016年上半期その先駆けとなった冬アニメを、筆者の趣味嗜好丸出しでピックアップしていきます!
この素晴らしい世界に祝福を!
トップバッターを務めますは、既に巷では話題沸騰、間違いなく今最もアツいアニメと言えるでしょうコチラの作品、『この素晴らしい世界に祝福を!』
スタジオディーン制作、角川スニーカー文庫原作のアニメ『この素晴らしい世界に祝福を!』通称『このすば』は、アニメやゲーム三昧の充実した引きこもりライフを過ごしていた主人公「佐藤 和真(サトウ カズマ)」(CV:福島潤)が、あることをきっかけに異世界に転生してしまうという、いわゆる異世界転生モノのファンタジー作品。
本作では魔王を倒して元の世界に帰ることが目的となっておりまして。異世界へ行くにあたって、女神「アクア」(CV:雨宮天)からの「何でも好きなものをひとつだけ、持っていってもいいわ」という提案から、この物語は始まります。
こういった異世界転生モノでは、打倒魔王の為に強力な武器やスキルなどを手に入れて転生するのがセオリーと言えるでしょう。
しかしこのカズマさん、「何が女神だ、ちょっとばっかり可愛いからって調子に乗りやがって!」というただただ嫌がらせがしたかったというあまりにも理不尽すぎる理由で、異世界に持っていくものにアクアを選び、一緒に異世界に引きずり込むというルールブレイカーをやってのける。
カズマさんの暴挙はこれが始まりに過ぎず、主人公らしからぬ己の欲望に忠実な言動の数々に、視聴者からは「カスマさん」「クズマさん」の愛称で親しまれているほどです。
異世界転生モノというジャンルの特徴であり醍醐味とも言える「平凡だった主人公が異世界では類稀なる才能を発揮して敵をバッタバッタと倒していく」というお約束も、当然この作品には通用しません。
何せ欲しいものにアクアを選んでしまったわけですから、当然カズマさん自身には強力な武器も特別な才能も何もない状態で異世界に送り込まれてしまった正真正銘普通の人間なのです。
更にその連れてきたアクアも、女神だからといって異世界の情報に詳しいとか戦闘慣れしているとかそういうわけでは全く無く、むしろカズマさんに負けず劣らず使いものにならないという詰みっぷり。(顔は可愛いんですけどね!)
それでも元の世界に帰りたいカズマ達はどうにかこうにか冒険者としてやっていこうとするわけですが、当然異世界の通貨は一銭も持っていないカズマ達は、まず目の前の財政難(というか、最初の壁が財政難って本当にすごいなこの作品!)をなんとかするため、カズマ達は工事現場で働くことになります。なんと第一話はモンスターと一切戦うことなく、主人公がひたすら工事現場で働くシーンのみでBパートが終わります。
そしてやはり類は友を呼ぶのか、魔法を使うと倒れてしまう魔法使い「めぐみん」(CV:高橋李依)や、敵が強ければ強いほど興奮するドM騎士「ダクネス」(CV:茅野愛衣)など、問題児ばかりがパーティに集まっていき、
既に魔王を倒すという目的を若干見失いかけているカズマ達のマイペースなドタバタ異世界ライフは、物語を加速的に面白くしていきます。
ことごとくお約束を外してくる『このすば』ですが、そういった型にはまらない作風がこの作品の魅力の一つでしょう。先の読めないハイテンポなギャグに退屈しません。
そして何といっても魅力的なキャラクターの多さ!
ちなみに、筆者のお気に入りはダクネスさんです。
ファンからも神回と名高い第9話、このダクネスさんが(色んな意味で)大活躍します。そして、この作品の本気が垣間見える回となっております。未見の方は是非、第9話まで御覧になってください。最高です。最高なんです!
あまりの反響を呼んだ結果、なんと放送中に急遽第2期が制作決定するという異例を成し遂げた『このすば』!
声を大にして、是非おすすめしたい作品でございます!
灰と幻想のグリムガル
続けて紹介するのは、同じく異世界モノのファンタジー作品。ですが、『このすば』とはまるで違うベクトルの作風です。
オーバーラップ文庫発のライトノベル原作で、月刊ガンガンJOKERでも漫画版が連載されている本作、『灰と幻想のグリムガル』
目覚めると、そこは人が魔物と戦う異世界。自分の名前以外何も思い出せなくなった状態でそんな世界に放り出された主人公達は、ひとまずパーティを結成。戦士や魔法使いなどの職に就いてスキルを習得し、魔物を狩ることで生計を立て、過酷な環境下で懸命に生きようとします。
この作品、命のやり取りをとにかくリアルに描写してきます。RPGではお馴染みのゴブリンですら、その一匹一匹が人と同じ赤い血を通わせ、生きる為に最期の瞬間まで必死になって抵抗してきます。魔物も人間と同じ命ある者であり、どちらも殺されれば当たり前のように死ぬのだということを強調してくるのが本作の特徴でしょう。
一匹のゴブリン相手に6人掛かりで挑んでなお苦戦を強いられた時の(ゴブリンって、俺達よか強くね……?)という主人公の心の声は、筆者にはとても新鮮に聴こえてきて、今でも強く印象に残っています。
この物語の主人公である「ハルヒロ」(CV:細谷佳正)を始め、お調子者で口は悪いが誰よりも自分の役割というものを理解している「ランタ」(CV:吉野裕行)、パーティの頼れるリーダー格である「マナト」(CV:島崎信長)、大柄な見た目とは裏腹におっとりとした性格の「モグゾー」(CV:落合福嗣)、おっぱいが大きい内気な女の子「シホル」(CV:照井春佳)、いつも明るくてマイペースな天然少女「ユメ」(CV:小松未可子)など、魅力的なキャラクターが多数登場します。彼らが互いに欠点を補い、助け合いながら、パーティとして少しずつ成長していく姿に是非注目してほしいと思います。
ちなみに、筆者のお気に入りは「メリイ」ちゃん(CV:安済知佳)。
普段はツンケンしてるけど、心根はとても優しい女の子。
このメリイちゃんが登場するのは4話以降なのですが……そうですね、まだ未見で興味のある方は、是非4話まで視聴を続けてみることをおすすめします。この『グリムガル』がどういう作品なのか、改めて思い知らされることでしょう。
背景を水彩画タッチで描いているのもこのアニメの特徴ですね。「ああ。ここは異世界なんだ」と感じさせる幻想的な雰囲気が表現されていて、『グリムガル』らしさが出ています。
人の手の及んでいない自然が残る美しい世界。それでいて常に死と隣り合わせという過酷な現実。重厚なリアルファンタジーを堪能したい方には、是非おすすめしたい作品です。
最弱無敗の神装機竜
ここまで一風変わったファンタジー作品を紹介してきました。王道から少し外れた変わり種も新鮮で楽しいですが、やはりド直球に王道な展開というものも安定した面白さがあっていいですよね。今回ご紹介する『最弱無敗の神装機竜(さいじゃくむはいのバハムート)』は、今流行りの学園ファンタジーバトル、その王道を往くような作品でございます。
5年前、クーデターによって滅ぼされた旧帝国の皇子「ルクス・アーカディア」(CV:田村睦心)は、旧帝国の罪を借金という形で背負わされ、新王国で様々な雑務をこなすことで恩赦を受ける日々を送っていました。
さてこのアニメ、開幕早々このルクス君が女子風呂にダイブしてヒロインを押し倒すというラノベ系主人公として百点満点のアクションからスタートします。よくやった!
その押し倒されたヒロインというのが、本作のメインヒロインであり新王国の第一王女、リーシャちゃんこと「リーズシャルテ・アティスマータ」(CV:Lynn)。
ルクス君曰く「体付きは幼いのに胸はそこそこにあって……エロいです!」。
流石の筆者も初対面の女の子になんてこと言うんだと思いましたが、正直確かにエロいんですよねこの子!
裸を見られた挙句こんなことを言われたリーシャちゃんは当然激怒し、ルクス君に決闘を申し込みます。その決闘方法に使われるのが、この世界の遺跡から発掘された古代兵器「装甲機竜(ドラグナイト)」。まだ謎の多い兵器で、同じく遺跡から突如現れるようになった怪物「幻神獣(アビス)」への対抗手段として用いられています
リーシャちゃんはこの装甲機竜のパイロットとしてかなりの腕前を誇っており、『神装機竜』という汎用機とは桁外れのスペックを有する専用機「ティアマト」を所有しています。
しかしルクス君も負けてはいません。なんと汎用機でリーシャちゃんのティアマトの攻撃を凌ぎ、制限時間まで耐えて引き分けを狙おうとします。この戦い方からルクス君に付いている異名が「無敗の最弱」。かっこいい。
決闘中に幻神獣の乱入などイレギュラーが発生しましたが、ルクス君とリーシャちゃんは協力してこれを撃退。リーシャちゃんはルクス君の実力を認めてこの一件は収まります。
そうしてルクス君はこの物語の舞台、その中心となる王立士官学園に入学することになります。当然、この学園には女の子しかいません。やったぜ!
リーシャちゃんを始め、神秘的な雰囲気を放つ美女「クルルシファー・エインフォルク」(CV:藤井ゆきよ)、ルクス君と幼馴染のほんわか天然系「フィルフィ・アイングラム」(CV:久保ユリカ)、誇り高き公爵家の令嬢「セリスティア・ラルグリス」(CV:種田梨沙)など、とにかくたくさんの美少女が登場します!筆者のお気に入りはこのフィルフィことフィーちゃんです。
YES!かわいいですね!
この作品の魅力の一つとして装甲機竜のかっこよさもありまして。この子が操縦する神装機竜「テュポーン」は筆者の好みド真ん中なめちゃくちゃかっこいい機体なので、それも含めてこの子のことを気に入っております。
ちなみに本作、同じ「最弱」繋がりなのか、なんと2015年に放送され多大な支持を得たあの名作『落第騎士の英雄譚』と様々な形でコラボを果たしています!
『落第騎士の英雄譚』は筆者も大好きな作品なので、また機会があれば紹介させていただきたいなと思います!
魅力的なヒロイン達との学園ラブコメに加え、人間と幻神獣、時には人間同士との争いも描いたSFファンタジー作品!
タイトルの由来である神装機竜「バハムート」の活躍は第2話以降。ルクス君の本当の実力が垣間見え、物語が動き出します。乞うご期待!
僕だけがいない街
さて、満を持しての紹介となります。
ここまで読んでくださった方の中には、「ようやく来たか」と思われる方も、きっといらっしゃることでしょう。
そんなとんでもない映像作品が登場しました。
「このマンガがすごい!2014」「マンガ大賞2014」など数々の選考の場にノミネートされ、2016年3月には実写映画化まで果たしたミステリー作品、『僕だけがいない街』。
主人公『藤沼 悟(ふじぬま さとる)』は、『再上映(リバイバル)』という「悪いことが起きると、それが起きる前の時間にタイムスリップする」能力を持っています。悪いことが起きる原因を取り除かない限り何度も時間が巻き戻ってしまうという、ちょっぴり傍迷惑な能力ですが、藤沼悟はこの能力と上手く付き合っていきながら平凡な日々を過ごしていました。
その日も、トラックに撥ねられる予定だった児童をリバイバルによって未然に防ぎ、結果として自分が撥ねられ二日間入院するという散々な目にあった悟でしたが、偶然そこに居合わせた同じバイト先の女の子『片桐 愛梨(かたぎり あいり)』(CV:赤崎千夏)に、児童を助けた勇敢な姿勢を気に入られ、少しずつ距離が縮まっていきます。
息子が入院したと聞いて駆けつけた母親『藤沼 佐知子』(CV:高山みなみ)も登場し、孤独だった藤沼悟の周囲に変化の兆しが見え始めた頃、藤沼悟は、ふと昔の事件を思い出します。
児童連続誘拐殺人事件。当時同じクラスだった『雛月 加代』(CV:悠木碧)を始め、2人のクラスメイトが命を落とした事件のことを。藤沼悟は、その事件の前日に公園で一人だった雛月加代を見かけたにも関わらず、声を掛けることなくその場から立ち去り、結果として死んでしまった彼女のことを「僕だったら助けられたのに」と後悔していました。
犯人も捕まって解決したかに見えたその事件、実は真犯人が潜んでおり、今でもまだ殺人を繰り返していたのです。
その真犯人が子供を誘拐しようとしていたところを偶然見かけてしまった藤沼佐知子は、真犯人の正体に気付きます。そして佐知子に気付かれたことを察した犯人は佐知子を殺し、その罪を藤沼悟に着せようとしたのです。
バイトから戻ると、部屋には母親の死体。通報を聞き駆けつけた警察に取り囲まれる悟。その瞬間、リバイバルが発動して――――気が付くと、そこは昭和63年。この事件をきっかけに、藤沼悟は2006年と1988年、二つの時代を行き来することになるのです。
昭和63年に飛んだ藤沼悟は、このリバイバルによって意識だけが大人のままで体は小学生という状態で、姿の見えない真犯人を追うことになります。
登場人物一人ひとりの一挙一動全てが怪しく見える状況。歴史を変えるべく奮闘する主人公の姿。そして二転三転する驚愕の展開の数々。一分一秒たりとも目が離せません。
さてこの作品を語る上で欠かせない要素である『リバイバル』。主人公は傍迷惑な能力だと不満がっていましたが、正直めちゃくちゃ羨ましくないですか?
「あの頃に戻りたい…もう一度人生をやり直したい…」
きっと誰しもが一度は願ったことがあるでしょう。無論、筆者も常日頃願っています。過去を後悔しながら、それでも変わらない現実に日々枕を濡らしております。
この作品はそんなロマンの塊とも言えるシチュエーションを形にして、物語に上手く取り入れてくれています。
開発の進んでいない昔ながらの街並み。外で元気に走り回って遊ぶ子供達。さらには大人に内緒の秘密基地と、「あの頃の思い出」が視聴者目掛けて全力で襲い掛かってきます。
さらに……さらにですよ……舞台は小学校が中心となりますので、ヒロインも当然小学生。ぐああ!まずい!甘酸っぱい初恋の記憶が蘇ってくる!恥ずかしい!
この子が、そんな本作の小学生ヒロインこと、雛月加代ちゃん。かわいいですね。
彼女は過去の事件の被害者でもあり、悟は事件を未然に防ぐため、この雛月加代ちゃんを一人ぼっちにさせないように仲良くなろうと近付きます。
基本的に登場人物全員が怪しく見える本作で、この雛月加代ちゃんの存在はまさに唯一の良心と言ってもいいでしょう。それくらいかわいいのです。
この雛月加代という儚げな少女を悠木碧さんが声で見事に表現してくれています。声優さんってすごい。
息をつく暇さえ与えない怒涛の展開。明かされていく驚愕の真相。語りだすときりがない本作の魅力を、是非その目でご確認ください。
ハルチカ~ハルタとチカは青春する~
続けてご紹介しますのは、これまた本格ミステリーとして人気を博している作品でございますが……この作品、他とは一線を画する独特なジャンルを確立させております。
その名も「吹奏楽ミステリ」。なんとも不思議な組み合わせですが、意外にもガッチリハマっていて、独特な持ち味を出しています。
初野晴が送る大人気推理小説「ハルチカ」シリーズを、あのP.A.WORKSが手掛けて誕生した本作『ハルチカ~ハルタとチカは青春する~』。青春時代を吹奏楽に注ぐと決めた少女『穂村 千夏(ホムラ チカ)』(CV:ブリドカットセーラ恵美)と、その幼馴染の少年『上条 春太(カミジョウ ハルタ)』(CV:斉藤壮馬)が、校内で起こる様々な「日常の謎」を解決していく、というのが話の本筋になります。
この「日常の謎」というのがこの作品のミソでございまして、一人ひとりの生徒が内に抱える様々なコンプレックスを、日常の中に潜む事件として取り扱っているところが、本作の魅力の一つと言えるでしょう。
推理パートだけでなく、こういった「日常の謎」を解決していきながら、ハルタとチカが色んな人と巡り合い、成長していって、恋に青春に全力で突っ走っていく姿も魅力の一つですね。
ミステリとしての内容自体も素晴らしく、「吹奏楽ミステリ」という名は伊達ではない独特なトリックの数々に、筆者も思わず息を漏らしました。
ちなみに筆者、ミステリも大好物でございます。昨年アニメ化した「すべてがFになる」などでお馴染み森博嗣先生のS&Mシリーズが特にお気に入り。『ハルチカ』もそうなんですが、こういう専門的な知識や技術をトリックに用いてくるタイプのミステリには知識欲を刺激されて、やはり惹かれるものがありますね。
さらに特筆すべきは、このハルタとチカの関係性。幼い頃から交流があったハルタとチカは、高校に上がって偶然にも再会を果たすわけですが。お互い昔から何一つ変わっていないかと思いきや、たったひとつ、大きく変わったところがあったのです。
それは……ハルタとチカが、互いに同じ男を好きになってしまったというところ。
その相手というのが、吹奏楽部の顧問『草壁 信二郎』(CV:花江夏樹)。イケメンです。
「男だからって、負けるつもりはないよ」とチカに宣戦布告をするハルタ。恋敵が幼馴染で、そのうえ男という事実にチカちゃんは大パニック。視聴者も大パニック。
かくして、奇妙な三角関係が幕を開けるのです。
三角関係という心躍るワードに、きっと一気に興味が湧いた一部の層の方々もいらっしゃるかと思いますが、本作はハルタとチカのように魅力的なキャラクターがまだまだたくさん登場します。
最初は部員も少なく廃部の危機に瀕するほどの吹奏楽部でしたが、謎を解き明かしていくにつれて少しずつメンバーが揃っていき、お話もどんどん面白くなっていきます。
ハルタとチカのまるで息の合った漫才のようなやり取りも必見ですよ。
2017年にはなんと実写映画化まで決定している『ハルチカ』シリーズ。
「吹奏楽ミステリ」という一風変わったジャンルに心惹かれた方、三角関係というキーワードに心惹かれた方、是非一度ご覧になってみてください!
亜人
「あの頃に戻りたい」とはまた違うベクトルの話ですが……
これも、皆さん一度は思ったことがあるのではないでしょうか。
「不老不死になりたい」
これは、そんな不老不死に本当になってしまった人間達の末路を描いた物語です。
今回の記事で紹介する作品の中では、最も異彩を放っている作品と言えるでしょう。
原作は講談社「goodアフタヌーン」より連載中。全3部作に渡る劇場版、その第一部が2015年11月に放映され、テレビアニメ版の本作は2016年1月から放送を開始しています。
本作の世界には『亜人』という不死身の生物が存在します。亜人は亜人であって自分達と同じ人間ではないというのが人類の共通認識でして、発見された亜人の数もごく僅かしかいないため、亜人は人類から「天然記念物」あるいは「人体実験のモルモット」として扱われています。
主人公『永井 圭』(CV:宮野真守)は、ある日トラックに撥ねられたことで自分が亜人であることに気付いてしまい、自分を取り巻く環境が一変。様々な組織が亜人である永井圭を捕獲しようと動き始め、平凡な高校生だったはずの永井圭の首には多額の賞金が掛けられます。こうして日常は終わりを告げ、終わりの見えない逃避行が始まります。
本作の特色は、やはりと言うべきか、全てCGによって制作されていることでしょう。あの『シドニアの騎士』などを手掛けた3DCG制作会社「ポリゴン・ピクチュアズ」のハイクオリティなCGは、作品にリアリティとアクションの躍動感をもたらし、その魅力を更に引き立てています。
亜人には『IBM』と呼ばれる特殊能力が備わっているのですが、この『IBM』の幽霊のような不気味な雰囲気を表現するのに3DCGが本当にピッタリハマっていて、特に『IBM』同士の戦闘シーンは圧巻の一言。
さらに3DCGのあの独特な質感は、街や森などの背景に「どこに敵が潜んでいてもおかしくない」というリアルな緊張感を伝えてくるようで。この作品にピッタリだと筆者は思いましたね。
また、亜人を巡って様々な人間の思惑が交錯する人間関係もこの作品の魅力と言えますね。
筆者が好きなキャラは、主人公の幼馴染の『海斗』(CV: 細谷佳正)。この少年、もうほんと、めちゃくちゃいい奴なんですよ……かっこいい……筆者もこんな友達がほしかったですね……
まだ劇場版第二部第三部と控えており、これからますます勢いを増していくであろう『亜人』。是非ご覧ください!
だがしかし
ダブルソーダ、という名前のアイスがあります。筆者はそのお菓子が大好きでして(一袋に二本入っていてとてもお得な気分になれたので)、
よくそのダブルソーダを買いに、近所の駄菓子屋さんに通っていました。
なけなしのお小遣いで買ったそれを、妹と半分こしていましたね。懐かしいです。
ああ、あの頃に戻りたい……リバイバルしたい……
と、こんな風に。現代社会に疲れた大人も一発で童心に戻してくれる存在「駄菓子」をコンセプトにしたのが、この作品。美味し懐かし駄菓子コメディー、『だがしかし』でございます。
「週刊少年サンデー」より連載中、原作者コトヤマのデビュー作。駄菓子屋が舞台という独特なコンセプトが話題を呼び、2016年1月にアニメ化。その後単行本が累計約170万部を突破(2016年3月19日時点)するという異例のヒットを叩き出したのが、この『だがしかし』。
駄菓子屋の息子『鹿田 ココノツ』(CV:阿部敦)は、毎日のように父・鹿田ヨウに店の経営の跡継ぎになるよう迫られていましたが、将来は漫画家になりたいという夢がありそれを嫌がっていました。そんなある日、都会からやってきた駄菓子大好き少女『枝垂 ほたる』(CV:竹達彩奈)が現れ、ココノツに駄菓子屋を継がせるべくありとあらゆる手段を用いて駄菓子の魅力を伝えてこようとします。
駄菓子について並々ならぬ情熱を秘めたほたるさんが毎回色んな種類の駄菓子を紹介していくというのが、この物語の主旨であり、大きな魅力です。
紹介する駄菓子は実際にあるものばかりで、誰もが知っている有名所はもちろん、ちょっぴりマニアックなものまで押さえてあるのがこの作品のニクいところですね。駄菓子にまつわる色々なエピソードが聞けてとても楽しい。大人の方はもちろん、世代で無い方も、きっと駄菓子をより身近に感じられるようになるでしょう。
ちなみに筆者も割りとすぐ影響されるタイプのオタクでして、あまりにも美味しそうに駄菓子を食べるほたるさんを見て、早速スーパーの駄菓子コーナーに直行して作品内で紹介していた駄菓子を大人買いしてまいりました。駄菓子コーナーで居合わせたお子さんからの「なんだこの大人は……」という目は今でも忘れられません。
さらに近年!あの大人気駄菓子「ベビースターラーメン」そして「ブタメン」が、『だがしかし』とのコラボ商品を出しています!全国のコンビニで発売中とのことなので、是非手に取ってみてはいかがでしょうか!
ここまでほとんど駄菓子のことにしか触れていませんが、もちろん忘れてはいけないのは、そんな駄菓子の魅力に負けずとも劣らない個性豊かなキャラクター達。
先でも紹介しました、本作のメインヒロインである枝垂ほたるさん。作品でも随一の人気を誇っています。無邪気に駄菓子を愛する少年のように純粋な心、それとは裏腹に女性らしさをこれでもかと強調してくるナイスバディが人気の秘訣ですね。実際すごい。
そして、もう一人のヒロインであり、主人公の幼馴染である『遠藤 サヤ』(CV:沼倉愛美)ちゃん。気の強い性格ですが、基本的に変人しかいない登場人物たちの中では比較的常識人。なぜか駄菓子に関するあらゆる才能に非常に長けており、ほたるさんからは「サヤ師」と呼ばれ尊敬されています。
このサヤちゃんがまためちゃくちゃ可愛いんですよね。本当に。是非ご覧になってください。かわいいです。
昔から変わらずそこにある、身近な存在である駄菓子。この作品に触れれば、皆さんもきっと、もっと駄菓子のことが好きになると思います。
昭和元禄落語心中
さて、先の「駄菓子」のように、時代が変わり人が変わってもなお変わらず愛され続ける、そんなコンテンツが、この日本にはたくさんありますね。
変わらないものの美しさはさることながら、だがしかし、変わらないことを選んで時代に置いていかれたものもまた、たくさんありました。
変わるべきか、変わらないべきか。どちらのほうが正しいなんて、決まった答えがあるわけではありません。だからこそ人は悩み、そこにドラマが生まれます。
雲田はるこが「ITAN」(講談社)より連載中の本作、『昭和元禄落語心中』。この作品は、「落語」に文字通り人生を捧げた男達の物語でございます。
舞台は昭和50年代頃。落語の絶頂期は過ぎ去り、テレビや漫才ブームに圧されている時代でした。
その1年前、「八代目有楽亭八雲」の演じる落語「死神」を聞いて以来、彼の落語の虜になった一人の青年『強次』(CV:関智一)は、今までのチンピラ同然の生活から足を洗って、八雲の元へ出向き、弟子入りを懇願します。
最初は弟子入りを拒んでいた八雲でしたが、何か思うところのあった八雲は強次を付き人として同伴することを許します。強次は「与太郎」という名で落語の舞台に上がるようになりました。
そんな時、早逝したかつての天才落語家「二代目有楽亭助六」のことを知り、その芸風を気に入って真似するようになります。それに八雲はあまりいい顔をしていなかったのですが、ある日とうとう強次は八雲の前で大失態をしてしまい、破門されることとなります。
今は亡き助六の娘であり、今は八雲の養女である『小夏』(CV:小林ゆう)の立ち会いの下、必死に謝る強次。そこで八雲から「破門しない代わりに、これから言う三つの約束を守ってもらうよ」と命じられ――――舞台は昭和30年代頃まで遡り、若き日の八雲『菊比古』(CV:石田彰)と、この『助六』(CV: 山寺宏一)との因縁を描いた、長い昔語りが始まります。
本作は、原作の「与太郎放浪篇」にあたる第一話以降、この八雲と助六の生涯を描いた「八雲と助六篇」が中心となって物語が展開されていきます。
ちなみに、皆さんは落語について詳しいでしょうか?筆者はあまり詳しくなくて、昔から「笑点」をたまに見ていたくらいの知識しかないんですが、
なんとこのアニメ、実際に3分間の落語を声優さんに提出してもらい、登場人物の配役を決めるというオーディション形式を取っています。言わば今回出演している声優の皆様は、そんなオーディションに勝ち残った方々。
落語を知らない筆者にも、声優さん達の声の表現力や力強さ、そして落語の面白さというものが伝わってきました。
あのベテラン声優山寺宏一さんをして「必死で勝ち取った」と言わしめた助六役、是非ご覧になっていただきたい。きっと腰を抜かします。
作品独特の雰囲気の良さもさることながら、最たる魅力と言えばやはり、雲田はるこ先生が描く男同士の友情、あるいは羨望、あるいは嫉妬……一言では表し切れない繊細で濃厚な人間関係ではないでしょうか。それをスタジオディーンが絵や音、演出で余すことなく表現、その魅力をさらに引き立てています。
幼少期以前から続く八雲と助六の因縁、そのあまりの深さ。それでいて、お互い唯一無二の親友同士として想い合っているのが解る、繊細なやり取りの数々。「この二人の物語をずっと見ていたい」と、そう思える、素晴らしい人間模様が描かれています『落語心中』。
この機に、是非。手に取っていただければと願います。
アクティヴレイド
突然ですが、筆者の子供の頃の夢は「仮面ライダーになること」でした。
悪から人民を守る正義のヒーロー。かっこいいですね。今でも割りと憧れています。
ちなみに筆者が好きな平成ライダーシリーズの作品は「カブト」「ダブル」「オーズ」あたり。これはまた別の機会に語るとして……
本作はそういった特撮作品の作風を踏襲しつつ独自の世界観を構築していて、まさに男のロマンの塊のような映像作品!
オリジナルTVアニメーション『アクティヴレイド -機動強襲室第八係-』の紹介は、ここでやってまーす!
舞台は科学技術が高度に発達した近未来。「ウィルウェア」と呼ばれる強化外骨格(パワードスーツ)を使用した犯罪が多発する東京で、同じくウィルウァアをもってして犯罪者に対抗する警察庁の特殊部隊「機動強襲室第八係(通称・ダイハチ)」の戦いを描く物語が、この『アクティヴレイド』でございます。
聞きました皆さん?「強化外骨格」ですって!超かっこいい!
この強化外骨格ウィルウェア、汎用性に優れ、一般人にも入手が容易なことから悪用されてしまいがち。そこで立ち上がったのがダイハチだったのですが、ダイハチのウィルウェアは戦闘に特化した武装が施されており、そこかしこへ出動すると周囲の建造物破壊など二次被害をもたらす危険性も孕んでいるため、法的制約や政治的手続きなど様々な制約が架せられているのです。どれくらい厳しいかと言うと、目の前で事件が起きているのに出動自体させてもらえない時もあるくらい。大変ですね。
様々な問題を抱えているダイハチは、政治家や同じ警察から問題児集団として煙たがられています。そんなダイハチを更正する目的で配属されることになった新米隊員『花咲 里(かざり あさみ)』(CV:小澤亜李)。彼女は高い正義感の持ち主で、「自分がダイハチを変えてやる」と息巻いていたのですが……このダイハチ、問題児集団と揶揄されるだけのことはあってメンバー一人ひとりが常識外れの奇人変人揃い。逆に振り回されることになります。
最初は一つ一つが関連性の無い事件、話が進むごとにその裏で糸を引く何者かの姿が見え隠れするようになっていきます。
街の平和を守りつつ、そうした謎を徐々に解き明かしていく、というのが本作の大まかな流れとなります。
さてそんなアクティヴレイド、その魅力と言えばやはり、冒頭でも紹介しました特撮作品を踏襲した数々の演出!
オープニング映像には、特撮作品特有の効果音付き!
そしてなんといってもウィルウェアのかっこよさ!ダイハチは戦隊モノのように一人ひとりが違うイメージカラーと独自の武装を備えたウィルウェアを持っています。もちろんダイハチのみに限らず、毎回敵側として出てくる他のウィルウェアも特徴的で、とにかくかっこいい。
さらにこの作品、パワードスーツに飽き足らずなんと巨大ロボットまで登場させてきます。どこまでやるんだアクティヴレイド!
あらゆるデジタルガジェットに登場して人々の生活を支援してくれるソフトであり、本作の象徴とも言えるバーチャルキャラクター『Liko(リコ)』(CV:黒沢ともよ)は、実際に目覚ましアプリとしても登場しています。これを機に是非インストールしてみてはいかがでしょう!?
実は分割2クールである本作、そのセカンドシーズンは2016年7月から放送スタート。激化していくストーリーは必見です。
特撮好きの方も、そうでない方も、『アクティヴレイド』を是非よろしくお願いいたします!
紅殻のパンドラ
いよいよ最後の紹介となってしまいました。『アクティヴレイド』に続きまして、いよいよトリを飾りますのは、同じく近未来が舞台のお話。
あの名作『攻殻機動隊』でお馴染みの「士郎正宗」と、漫画家「六道神士」の夢の共演が実現した作品『紅殻のパンドラ』が、Studio五組の手によってとうとうアニメ化を果たしました!
「女の子だって暴れたい!」
技術先進国ではサイボーグやロボットが一部ではあるが一般に出回り始めた未来の世界。脳以外の全てを機械化した「全身義体」の少女「七転 福音(ナナコロビ ネネ)」(CV:福沙奈恵)は、引越し先のリゾート島で、女性科学者『ウザル・デリラ / サハル・セヘラ』(CV:田中敦子)と、その従者である戦闘用アンドロイド『クラリオン』(CV:沼倉愛美)との出会いをきっかけに、様々な事件に遭遇していきます。
「全身義体」というワードにピンと来た方もいらっしゃるでしょうが、本作の世界設定はまさにあの『攻殻機動体』を踏襲したものであり、具体的には『攻殻機動体 ARISE』より前の時代のお話として位置付けられています。
それでいて、世界的に大規模自然災害が頻発し、大国が資源やリソースを奪い合って貧富の差が拡大しているという時代背景とは全く関係なく、ただただ七転福音とクラリオンがイチャイチャし続けるだけで有名な作品でもあります。
さて、本作でも重要な要素である「全身義体」ですが。ただでさえ体の一部の機械化は生身の人間にとって日常生活に支障をきたさないレベルまで使いこなすのに相当の訓練を必要とするのに、全身ともなると、まだ発展途上である本作の時代の人間が使いこなすには過酷なリハビリが必要になります。
ネネちゃんはそんな時代の数少ない「適合者(アデプタ)」であり、幼い頃に患った難病を克服する為の手段として全身義体になることを選び、一命を取り留めます。その時、機械の目に映った世界は変わらず美しかったことに、ネネちゃんはいつしか「世界平和」を夢見るようになります。いい子ですね。
そんな特別な境遇を背負ったネネちゃんは、初めて出会った同じ女の子――――クラリオン(以下クラりん)と友達になりたいと思うようになります。一目惚れですね。
ネネちゃんの体に興味を持ったウザルは、ネネちゃんをクラりんと引き合わせ、上手いこと懐柔してネネちゃんの体を弄くりまわします。
そうしてネネちゃんが新たに手に入れた力が「パンドーラ・デバイス」。クラりんの中に内臓されているこのアプリケーションをネネちゃんがダウンロードすることで、プログラム化された多種多様な戦闘技術などを使用できるようになるのです。
さて、このパンドーラ・デバイス。クラりんの中にある物をどうやってダウンロードするのか、皆さん気になりますよね?
さて。これから述べる筆者の説明は、決して大袈裟な表現を使っていない真実であることを先に断っておきます。
このパンドーラ・デバイス、ネネちゃんがクラりんの局部に手を突っ込むことでダウンロードできるのです。
もう一度言いますね。
ネネちゃんがクラりんの局部に手を(自主規制)
いや本当なんです!実際に見てくださればわかります!
筆者は今まで色んな変身ヒーローモノの作品を見てきましたが、まさか女の子が女の子に(自主規制)する作品には初めて出会いました。だってスゴくないですか?女の子が(自主規制)することで世界が救われるんですよ!テンション上がりますよね!(こんなの掲載して大丈夫なんだろうか)
そういった繋がりでネネちゃんとクラりんの距離も縮まっていき、より親密になっていきます。彼女達のほのぼのとした日常生活も、この作品の大きな魅力の一つとなっています。
綿密に練られた世界観、独特な時代設定を背景に、大切な人と巡り合う物語。一風変わったSFアクション作品を、是非ご堪能ください。
2016年のアニメも好調なスタートでこれから楽しみ!
以上、筆者の趣味全開でお送りしました『2016年のおすすめ冬アニメ10選』。いかがでしたでしょうか?参考になりましたら幸いでございます。
10作品に絞り込むにはあまりにも良作揃いで、どの作品を紹介するのかで最後まで頭を悩ませました。2016年、幸先の良いスタートですね。
もちろん、ここで紹介した作品の他にも魅力的な作品はまだまだたくさんございます!
皆さんも是非、2016年冬アニメを振り返ってみてはいかがでしょう!